*どちらも人であること




 とはいえ、独り立ちの件とカイルの怪我とは別の話だ。

 仕事が出来なくなったのだから、このままという訳にはいかない。

「入院費用とリハビリ代は私が持ちます」

 企業に属している傭兵ならば、何かしらの保証や積み立て年金やらがあるのかもしれないが生憎とカイルはフリーだ。

 フリーの傭兵を対象とした積み立て年金を扱う会社も存在するにはするが、カイルはそれを最低金額で設定していた。

「おいおい、それくらいの金は持ってるぞ」

「それは老後に回してください。当面の面倒は私が見ます」

「おま──」

 言い終わらないうちに顔をずいと近づけられ、魅惑的な瞳に言葉が詰まる。

「これくらいはさせてもらいます。文句は受付けない」