「俺とジェームスがお前の独り立ちを見届ける」

「しかし」

「お前を教えられる奴なんて、もういねぇよ」

 そうは言われても、突然の事にベリルは当惑する。

 こちらとしては、教わりたいことはまだまだあったのだから。

「どっちみち、そろそろ独り立ちさせる気でいた」

「あなたがそう決めたのなら、私はそれに従います」

 経験の浅さは知識でカバーするしかない。

 旅行どころではないなとすっぱり諦めて次へ意識を切り替えた。

「不安はあるだろうがよ。俺がいなくなる訳じゃねえし」

 聞きたいことがあるならいつでも相談に乗るぜ。

「解りました」

「まあ、しばらくはリハビリもあるし入院生活だがな」

 呑気に発したカイルを見下ろす。