たゆたう波の終わり

 カイルはそれを受け取ると、扱いづらい左手でどこかに電話をかけた。

「──カイルだ。大丈夫だよ、命はある」

 まるで自分の到着を待って電話をかけたようで、ベリルは怪訝な表情を浮かべた。

 しばらく世間話をしたあと、

「ベリルだがな。十八になったら独り立ちする」

「カイル?」

「まだ早いかもしれねえがまあ、いけるだろ。俺とお前で見届ける。──ああ、また連絡する」

「何を言っているのです」

 端末を手渡され、顔をしかめつつナイトテーブルに戻した。

「お前のことだから先にカルテを見たんだろ」

 互いに知った性格だ。隠し事をするようなものでもない。

「前と同じようには動けねえとさ」

 残念だが元の仕事には戻れない。

 溜息交じりにつぶやいたカイルに、ベリルは苦い表情を浮かべた。