「目的はなんだ」

「金に決まってんだろ」

 まあそうだよなと納得する。

 突発的な計画だったんだろう、人数も度胸も足りてない。

 度胸の据わった奴じゃないのはすでに承知だが、こうも狼狽されるとこちらとしてもやりづらい。

 銃の扱いに慣れた人間も軍関係者も乗っていなかったことはこいつらの運の良さなのかもしれないが、俺が乗っちまっててすまないなと皮肉めいた事を心中でつぶやく。

「なあ、おまえ」

「なんだよ!」

「一人でどうするつもりかな」

「何がだよ!」

「長引くのもなんだし、人質を犠牲にしようかなって」

「なっ──!?」

 男だけでなく、人質にされている船員も青ざめた。

「痛い思いはしたくねえだろ? 大人しく降参してくれると有り難いんだが」

 多くを救うための犠牲は、いつでもついてまわる問題だ。

 これほど今の状況にぴったりなものはない。