こいつは参ったことになった。
カイルは打開策を練るも、少しも見いだせなくてうなだれる。
痛みで外した後悔など、あとでいい。
「くそ。まだ持ってくれよ」
小刻みに震える手を見る視界がぐらつく。
受けた傷は深く、予想を上回る血液が流れ出している。このままではやばい。
「おい! 出てこい! 出てこないと、こいつを殺すぞ」
敵もこの状態を限界と感じている。
「仕方ねえな」
カイルは溜め息を吐き、持っていたハンドガンを男が見える位置に転がす。
そうして、手を挙げながらゆっくりと立ち上がった。
「なんなんだよおまえ! 俺たちの計画を邪魔しやがって!」
男は叫びにも似た声を上げ、カイルと掴んでいる船員に交互に銃口を向ける。