ハンドガンを手に意を決して立ち上がり、力任せにドアを蹴り飛ばす。

 男たちは驚いて振り返るも、カイルが素早く絞った引鉄に放たれた銃弾は二人を捉える。

「チィッ。外したか」

 一人には当たったが惜しくも一人には外れてしまった。威嚇に数発ほど撃ちながら機械の影に隠れる。

「なんなんだよ!」

 男は気が動転し、カイルが隠れている場所に何度も銃弾を浴びせた。

「なんだってんだ」

 怒りに体を震わせ、

「なんであんな奴が乗ってんだよ」

 よもや、反撃を受けるとは予想もしていなかったのだろう。目の焦点は合わず、ぶつぶつと呟いている。

 これはまずいかもしれない。行き場のなくなった思考は何をしでかすか解らない。

 どうにか船員たちを避難させたいが──

「おい! おまえ!」

「ひいっ!?」

 男はとうとう、目に入った船員の腕を掴んで引きずり出し、そのこめかみにハンドガンの銃口を突きつけた。