──デッキに出て、天気の良い日に何しやがると舌打ちした。奴らの仲間がいないかと気配を探りつつ進む。

 操舵室を制圧するのに人数はそれほど必要ない。

 多く見積もっても三人か四人だろう。予想を立てながら操舵室に続く扉に背中を預けて腰を落とす。

 ゆっくりと腰を上げ、丸いガラス窓から中の様子を窺うと、思った通り銃を持って船員たちを脅しているのは男二人だ。

 どちらも三十代前半か後半。服装を見るも、乗客を装っての行動のためカジュアルだ。

 よくて薄手の防弾ベストを着用している程度だろう。

 ふと、ベリルがいれば楽なんだがな……。などと考えたことに呆れて笑う。

「ハ、なにを考えてる」

 あいつなら一人でも充分に対処したかもしれない。いや、出来るだろう。あいつの冷静な判断と動きには俺も舌を巻く。

 たらればを言っている場合でもないが、この現状に多少の文句は許してもらいたいね。

 ドアノブにゆっくりと手を掛ける。少し力を加えると動くことから、鍵はかかっていないらしい。舐められたもんだなと肩をすくめる。