たゆたう波の終わり

「どこに行くんだ」

 エドワードは外に出る扉に向かうカイルに眉を寄せた。

「操舵室」

「なんだって?」

 それだけの怪我をしているのに、何をするつもりなんだ。

「船の動きがおかしい。操舵室が制圧されたなら、どうにかしねえとな」

 言いながら再度、持っている銃を確認する。

 これだけの乗客がいるというのに、運悪く戦闘経験者が一人もいない。

 それどころか軍人さえもいないとは、俺は神様に見放されたのかと肩を落とす。

「しかし。こいつら、なんだってハイジャックなんか」

 エドワードは、苦い顔で縛った男たちを見下ろした。

「しっかりした計画性は感じられない」

 それに、この規模の船を襲うには人数が足りてない。少なくともこの二倍は必要だ。

「金目当てが妥当な線か」

 船のハイジャックなんて、いまどき割に合わねえのによくもやる。