たゆたう波の終わり

「さてと」

 無線機を腰にねじ込む。

「あんた。それ」

 乗客の男はようやく、カイルの左足と右の二の腕から流れている血に気がついて目を見開いた。

「まあ、無傷という訳にはいかねえよな」

 苦笑いを返し、ナイフをもう一本取り出してカーテンを切り裂く。

 幅十センチ、長さ二メートルほどのものを何本か作り、うち一本を足の傷口からやや上あたりをきつく巻いて結んだ。

「何者なんだ」

「傭兵だよ。巻いてくれ。きつくな」

 腕はさすがに自分では無理だと包帯を手渡す。

 エドワードと名乗った男はカイルの返答に納得し、指定された箇所をきつめに巻いた。

 しっかり巻かれたことを確認すると投げたナイフを回収して、刺した相手の傷もついでに巻き付ける。

「扱える奴はいるか」

 サブマシンガンを示し、手を上げた三人に手渡す。さらに、この場所を制圧し続けられるようにいくつかの指示をする。