たゆたう波の終わり

 だったらせめて、飛びかかるなり何なりしろよと期待した自分の判断ミスだと大きく溜め息を吐いた。

 扱えないなら返せと男の手から銃を取り上げる。

「こいつらを縛ってくれ。厳重にだ」

 そのとき、

<おい>

 どこからともなく聞こえる声に辺りを見回す。

 縛った男の一人が小型の無線機を持っていることに気がついて、それを奪い取った。

<そっちの様子はどうだ?>

 少し思案し、縛った男に無線機を向ける。

「余計なことは話すな」

 銃口を突きつけて送信キーを押し早く喋れとあごで示す。男は苦々しくカイルを睨みつけるも、

「──異常は無い」

<そうか。くれぐれも油断するなよ>

「解ってる」

 相手は少しも疑ってはいないらしく、無線は何事も無く切られた。様子を見守っていた乗客たちはホッとする。

「上出来だ」

 縛られた男は頭を撫でる手を振り払い、憎らしげにカイルを睨みつけた。