たゆたう波の終わり

 同時に腰からハンドガンを抜き、銃口を向けたもう一人の男に引鉄を絞った。

 放たれた銃弾は男の肩に当たり、その衝撃と痛みで倒れ込む。

「きさま!?」

 残った男が狼狽(ろうばい)し、辺り構わず乱射すると乗客たちは叫びながら盾になるものを探して散っていく。

「チッ」

 こいつはまずいと逃げる乗客とは違う方向に走り、倒れているテーブルに身を隠す。何人か腕や足を撃たれたようだが大丈夫だろうか。

「おい。援護はどうした」

 口の中でつぶやいてハンドガンを投げ渡した男に視線を送る。途端に、これはだめだと頭を抱えた。

 でかい図体をして及び腰になっている。

 その体格はなんのためにあるんだと怒鳴りたいところだが、今は目の前の敵をなんとかしなくては。

 男は弾薬が切れたのか、弾倉(マガジン)を外してポケットから新しい弾倉(マガジン)を取り出すのに手間取っている。