たゆたう波の終わり

「お?」

 向こうもカイルに気付いたらしく目が合った。

 協力者がいるのは有り難い。相手の力量は解らないが一人で戦うよりはましだ。

 カイルはゆっくりと頷き、互いの意思を確かめた。

 敵の男たちには見えないように、右手で攻撃する相手を示す。

 了解の頷きを見て、合図をするタイミングを計った。

 必ず男たちの目が逸れるときがあるはずだ。カイルはそれをじっと待った。

 客室を見回っている仲間もいないのか、新たな敵は現れない。

 これ以上、増えないのなら好都合だ。

 そうして男たちの視線が一瞬、乗客から逸れたとき──カイルはすかさず腰にあるナイフを抜いて一人の男に狙いを付けた。

 カイルの動きに素早く対応できず、ナイフは男の腕に深々と突き刺さる。即座に左足首に隠し持っていた小さなハンドガンを乗客の男に投げ渡した。

「ぐお!?」

 痛みで落としたサブマシンガンを蹴り飛ばす。