たゆたう波の終わり

 二つに別けたのも、一度に蜂起されることを懸念してのものだ。

「──に、しても」

 ここにいるのは三人だけかとカイルはいぶかしげに小さく唸った。

 本来、大勢いる場所に人員を割くのは当然だが、たったいまここには三人しかいない。

 敵の全体数は多くないのかもしれない。それなら操舵室には一人か二人だと推測できる。

 その推測も誤りがあるだろうと意識しつつ、腰にあるハンドガンを手で確認する。

 この状況で三人を相手にするのは骨が折れそうだ。

 相手は乗客の命をそれほど重要とは考えていないだろう。なるべく怪我人は出したくない。

 思案していると、反対側にまとめられている乗客のなかに同じように間合いを計っている男を見つけた。しかし、同じ臭いはしない。

 おそらくスポーツか何かをやっている奴だろう。体力に任せて攻撃するつもりか。