たゆたう波の終わり

 威嚇射撃だろうか。連続して響く銃声にある程度、武器の見当を付ける。

 目立つのは良くないと体勢を低くしたとき、前方から多くの叫び声が聞こえた。

 逃げ惑う客たちに紛れて眺めていると、テーブルが蹴散らされフロアの中心にぽっかりとスペースが作られた。

 なおも威嚇は続き、ヒツジを誘導する犬のごとく乗客を二つのグループにまとめていく。そんな男たち数人の手には、サブマシンガンが握られていた。

「大人しくしていれば危害は加えない」

 男の一人が銃を手に、怯える乗客たちに低く発する。

 カイルは壁際に集められ座り込む乗客の中にいて、気取られないように視界全体から情報を集めていく。

 男の一人が忙しなく視線を動かしている。

 数カ所ある出入り口の全てをその男が一人で監視しているようだ。

 フロアの中心では男が二人、乗客を監視している。

 それぞれの出入り口は十数メートルと距離があるため、近くの乗客に重点を置く方がいいとの考えだろう。