──空が暗くなってくると、通常の明かりだけでなく、あちこちがカラフルなLEDライトでライトアップされ船はいち段と華やかになる。
食堂に集まる乗客たちは運ばれてくる料理に話を弾ませていた。
敷き詰められた赤い絨毯は上品に乗客たちを迎え、ステージではクラシックが奏でられている。
カイルは窓際の席に腰を落とし、普段は目にしない料理に顔をほころばせる。
それらを堪能しつつ優雅な演奏に耳を傾けていた。
とはいえ、ベリルを引き取ってからはそれなりに見栄えも味もいい料理がテーブルに並んでいる。
下手すればそこら辺のレストランよりも美味い。
思えば俺は胃袋をがっちり掴まれている。
大抵のものをそつなくこなすベリルに頼り切りになっていた。
何も言わなくてもやってくれているため、気がついた頃には手伝う暇も無く、ほぼ終わっている事がほとんどだ。



