初めての長旅に、ベリルの口元は自然と緩む。

 どんな場所で、何と遭遇するだろうか。

 ディスプレイ越しでなければ得られなかったものを、とうとうその手に掴むことが出来る。

 海の大きさにも驚き、海水の塩気にも感動を覚えた。

 港というもの、船というもの、飛行機というもの──出会うもの全ての知識と経験が統合され、ベリルはその薄い表情の下に湧き上がる大きな感情に震えた。

 自分の生まれを思えば、カイルにそれを話したところで信じてもらえる自信はなかった。

 それでも、話さなければならないと裏切られる覚悟も合わせて言葉を紡いだ。

 これはブルーの導きだと思いたい。

 これまでの流れを思い起こし、噛みしめてハンドルを握った。