「気をつけて行ってこい」

「はい」

 玄関の扉を開いて右斜めにある駐車場のシャッターが、キーと一緒についているボタンを押すと自動で上がっていく。

 そこには、オレンジレッドのピックアップトラックの隣に、ブルーで同じ型の車が駐まっていた。

 カイルの車に慣れていることもあり、ベリルは自分用にも同じ車を選んだ。

 ベリルはもうすぐ十八歳になる。ノースカロライナ州では十八歳で成人とみなされる。

 その前に、特に理由はないが目的地を定めない長旅に出ることにした。

「旅先で俺に仕事が入ったことを聞いても、戻ってくるんじゃねぇぞ」

「何故です」

 普通は戻ってくるものだとカイルの言葉に当惑した表情を見せる。

「いいから。すぐに帰ってくんなよ」

 念を押されて仕方なくそれに頷き車に乗り込んだ。

 手を振るカイルに目で応え、バックミラーに遠ざかる影を認める。