「その言葉が、どれほどの重みを持つものなのか。ようやく理解できました」

 カイルはそれに目を見開く。元々、自由を手にしていた人間から思えば、ベリルの環境こそが特別で理解が難しい。

「自由という言葉は、ひどく残酷にも思います」

 その言葉からは、責任の重さを感じられないのですから。

 カイルは、語り終わったベリルを見つめる。

 確かにそうかもしれない。自由という言葉をはき違えずにいる者が、どれ程いるのだろうか。その言葉のうえにのし掛かるものを、どれほどの人間が理解しているのだろうか。

 それは、何もかもが許されること。という意味ではない。

 したい事が出来ること──それが自由。

 そこにはルールがあり、行動には必ず責任が伴う。決して切り離せないものなのに、それをすぐに忘れてしまう。

 言葉もなく見つめるカイルに笑みを浮かべ、

「落ち着いたら一人旅をしてみようと思います」

「おう。それがいい」

 ──しかし、このことがベリルにとって永遠の後悔となる。