ウサギをさばくところを見ても、嫌な顔すらせずに食事を続けている。

 カイルはそれにも感心した。

 試すつもりはなく。

 つい、いつもの流れで作業をしてしまった。

 吐いていたら申し訳なかったところだ。

「あ、なたは、兵士、なのですか?」

 血まみれの手元とカイルを交互に見やり、躊躇いながらも問いかける。

「んあ? 俺は傭兵だよ」

 手際の良さにウサギはあっという間に解体され、それぞれに袋に別けられて小さなクーラーに納められる。

「傭兵」

「珍しいか?」

 ナイフを拭いながら問いかけると、ベリルは無言で小さくうなずいた。

 森を彷徨(さまよ)ったあげくに傭兵に遭遇するなんて、珍しいといえば珍しい事だろう。

「まあ、そんなに多くはないよな」

 肩をすくめて、ささいな話をしながら少年が食べ進めるのを見つめた。