「誰にも気付かれてないと思ってた?」

その問いに頷く。
すると望が意味深に笑って言った。

「他にも誤魔化せない人がいるでしょ」


「どういう意味?」

詳しく聞こうとするが、タイミング良くチャイムが鳴り響いた。
みんなそれぞれ教卓に提出しに行く。

挨拶をした後望にもう一度話しかけようとしたが、後ろから呼ばれて出来なかった。


「琴菜、ちょっと…」

「…海梨?」

そのまま腕を引かれ、着いたのは屋上へ続く階段だった。


「海梨、授業始まっちゃうよ?」

何の用だと聞くと、おもむろに階段に座り込む。

「ね、どうしたの?」

「どうしたはこっちのセリフなんだけど?」

「え…?」

「デブに何言われた?でもその前に朝から変なんだけど何かあった?」

「海梨……。あのね…」

全てを話した。
昨日階段から突き落とされたこと、援交してると決めつけられたこと…。

話していくうちに、少しずつ楽になっていた。
心の澱が無くなったようにすっきりする。