「困ったもんですね全く。さぁ、座って下さい。何処ですか?」

椅子に座らされた。
セーターとYシャツの袖を捲る。

「……これは」

「酷いな…」

自分でも驚いた。
今朝は腫れが引いて痣になっているだけだったのが、今は握られた所がさらに赤く腫れている。

「病院に行きますよ。痛いでしょう」

「え、大丈夫です!病院はちょっと……」

「大丈夫なわけ無いでしょう!ひびでも入ってたらどうするんですか!?」

珍しく長野が声を荒げる。

「や、ホント勘弁して下さい!」

「なに坂本、病院怖いの?」

菅野が面白そうに笑った。

「なに言って…。え、坂本さんホントに怖いんですか?」

長野が菅野をたしなめようとしたが、琴菜の表情に動きを止める。

「いくらなんでも病院が怖い訳じゃないですよ!ただ、今の時間はマズイってゆうか…」

「「ハイ?」」

2人の顔に心底訳がわからないという表情が浮かんだ。

「とにかく、学校終わったら行きますから!」