「………してない、と思うんですけど」

そう言うとクラスが笑いに包まれた。

「じゃあ大丈夫だろ。挨拶いいから1時間目の準備しとけ」

その言葉を合図にHRが終わった。
鞄を持ち菅野を追いかける。

廊下は教室に比べて随分寒かった。

「先生、今日なんで先生がHRなんですか?」

「お前、そこから聞いてなかったのか…。緒方先生は出張でいないし、俺が一番暇と思われたからだよ」

「……暇なんですか?」

「バ~カ、めちゃくちゃ忙しいの!……っと着いた。先に入れよ」

顔を上げてドアの上に付いているプレートを見る。

「生徒指導室…?」

「あ~俺もいるから…、」

不安が表情に出ていたのか菅野が言った。

大人しく中に入ると、生徒指導の細井が偉そうに机を挟んで座っている。