琴菜Side


まだ半分も人が来ていない教室に入り一息つく。
危なかった……。
これ以上だいちゃんといたら、嘘を突き通すことは出来なかっただろう。
本当は全て話してしまいたかった。しかしある可能性が頭をよぎり相談することを躊躇わせたのだ。

ひょっとして犯人は康太のことが好きな女じゃないのか……?
もし、自分の好きな人に幼なじみがいたら…。そう考えると納得できる。


「うーん……」

考えても答えは出ない。
呼び出しは中学時代から頻繁にあったので慣れてはいるが、実力行使に移られるのは困る。
柔道でも空手でもなにか習った方が良いだろうか…?


「…い、おい、坂本!」

ふと顔を上げると、クラス全員が自分を見ていた。
教壇からは何故か菅野に見られている。いつHRが始まったのだろう…?

「坂本、全く聞いてなかっただろ?」

「え?あの、えっと、スイマセン…」

「坂本な、HR終わったら鞄持って着いてこい」

「え、怒られるんですか…?」

「怒られるようなことしたのか?」