なにを知っていて、隠そうと必死なのかはエスパーじゃないからわからない。
しかし自分には問いただす権利も無いのだ。
「ね、今日部活あるよね?」
「あぁ。…ってお前その手がで部活来んなよ!」
「なんで?平気だよ。もうあんまり痛くないし…」
今朝見た限りでは昨日よりはマシになっているが、やはり腫れている。
「お前痛覚鈍い自覚ないのかよ…。とにかく来るなら見学!」
「でもマネージャーの仕事が…」
「観那がいるから回るだろ」
後輩の名前を挙げると黙り込んだ。
「……わかった」
心なしか頬っぺたが膨らんでるように見える。
口を開くが、また先を越された。
「じゃあまた部活でね」
そう言ってさっさと歩き去って行く。
いつの間にか自分の教室の前に着いていた。
いつ靴を変えたかも覚えていないほど、考え事に没頭していたらしい。
こんな廊下の真ん中で突っ立ってるのも邪魔だ。
仕方なく教室に入った。
