気持ちばかりが焦る。
が、朝は考えてる暇も無いくらい忙しい。

紫苑と玲音の前に座って朝ごはんを食べ始めた。
この2人は琴菜を見てると信じられない程寝起きが良い。
琴菜にも見習って欲しいが…。

「康太、琴菜ちゃんは起きないの?」

菜月に聞かれる。

「今着替えてる」

と返すと、ちょうどのタイミングで琴菜がドアを開けて入って来た。

「おはよございます……」

そう言って椅子に座って箸をとり食べ始める。

「ねーちゃん、髪!味噌汁に浸かるよ」

玲音が器用に前髪を耳にかけてやる。

「ねーちゃん、卵焼きにドレッシングかけないで!」

紫苑も琴菜からドレッシングを取り上げた。

小学生に面倒見られる女子高生、果たしてどうなのだろうか…?
しかし毎度見慣れた光景に最早突っ込む気も起こらない。

「琴菜ちゃん、いい加減起きなさい」

菜月に頭を軽く叩かれる。
いつもその衝撃で収束がつく。

「…あ、お母さん昨日来た?」

紫苑と玲音に聞いた。
やっと思考回路が通常に戻ったらしい。