「どうしてすぐに言わなかったの?!酷くなったらどうするの!」

手首を冷やしてやる。
怒られてるのは自分ではないが、結構な迫力があった。

「でも…。気づかなかったから」

思いっきり溜め息をつく。ここまで鈍いのか…。

琴菜の視線があちこちにさ迷うが、とうとう俯いた。
「………ごめんなさい」

そして素直に謝る。
それに菜月はいくらか懐柔されたらしい。

「…まぁ、骨は折れてないみたいで良かった。取り敢えず湿布貼るから」

「いや、俺がやる!」

慌てて口を挟んだ。

「なんでよ?」

「え…。まぁ俺がっやるから!」

とにかく必死でいい募った。

「?あ、そう。じゃあよろしく」

菜月は首を傾げつつも氷水がたくさん入った袋を持って台所に行った。

「……不器用って自覚無いのが困るよなぁ」

ついぼやくと琴菜が薄く笑った。

「あんなに料理美味しいのにね」