菅野の口がパカッと開く。それを見かねてか長野が補足した。
「2人は家族ぐるみで仲が良いそうですよ。特に母親同士が幼なじみだとか…」
菜月が康太の母親、夏香は琴菜の母親で家は向かいだ、と。
「あ?あぁ…。あ~、そうだったんだ」
やはり、菅野もなにか勘違いしていたらしい。
「あの、菅野先生ありがとうございました」
ベットから降りた琴菜が、まだ混乱している菅野に頭を下げた。
「長野先生も、帰る時間…」
長野はいつもとは違う自分の服を見下ろして苦笑する。
「いいんですよ。急いでいたわけじゃありませんから。それより、今日はきちんと食事と睡眠をとってくださいね」
「はい。ホントにありがとうございました」
「じゃ、先生さよなら~」
足元の鞄2つを手に取り、琴菜の手を引いて保健室をでた。
