『なんで奏ちゃん…』

思わず出てしまったあたしの言葉に、

「じゃあ…奏子?」

ドキッ

爽やかなハスキーボイスで悪びれる様子もなく言ってのける日野君。

その声がどんだけ威力あるか分かってないんだから!
またまたドキっとしてしまったじゃないか…

「奏ちゃんがいいなら…奏子って呼んじゃおっかなー♪」

こいつ…天然なのか計算なのか…ちょっとかわいくないですか!?←

きっと天然の日野君は「ね!どうする?奏ちゃんかー奏子かー…あ!奏(カナ)ってのもいいね!!」なんてむだに?テンションが高い。

『もう…なんでもいっす…』

「ホント?!じゃあ、カナって呼ぶね!!俺は〜奏太郎だから…ソウとかソウタとか??太郎でもいいけど…どする?」

あたしは別になんでも…なんて言ったら感じ悪いな…

『じゃあ…ソウタ君…って呼びます…』

「あぁ!「君」なんていいって!!あと敬語もなし!同じ2年なんだしさ♪」

なんか…ソウタ君…じゃなくて!ソウタ…は、人を巻き込んでいくっていうか…人を引き付ける何かを持ってるのかもしんないな…って、ふと思った。

『うん。…じゃあ、ソウタで!』

「うん!よろしく!!」

『よろしく!!』

あたしが勝手に作っちゃってた壁が、ソウタによって壊されたような気がした。

こういうところが人を引き付けてるのかもしんないなぁ…なんて。

やっとちょっとカップルみたいになってきた感じ??

…まぁどうせ"偽"なんだけど。