不機嫌な彼





「先輩…」





たとえ…少し怖くたって…


先輩は先輩で…






「…俺、吉岡が好きだよ…」






「…え」






「あの…10円借りたとき…


あんときより前から吉岡のこと好きだった…」







「…ッ」







「ずっと可愛いなって思ってて…でも


話しかける機会なんてなくて…さ」







先輩が少し恥ずかしそうに話すから


不覚にも可愛いなんて思ってしまう







「…あんとき、自己紹介しただろ?


…本当は吉岡の名前知ってたんだけどさ」