~プロローグ~ 爽やかな風が、黒く艶やかな短髪を揺らす。 「今日の陽射しは……少々痛いな……」 学生服に身を包んだ少年が、自分にしか聞こえないくらいの小さい声で呟いた。 『皇巳城学園(おうみしろがくえん)』 そう書かれた建物を見上げ、少年は眩しそうに目を細めた。 「ここに……俺の……」 それだけ言い、少年は足を進めた。