僕の執事 完結編

─コンコンッ
着替えの途中、誰かが部屋をノックした。


『はい。』


「失礼致します。」


ドアを開けたのは葵だった。


『もう行くって?』


「いえ、片付けが終わったのでお手伝いに来ました。」


手伝ってくれるのは嬉しいんだけど、後はネクタイと、ポンチョを羽織るだけなんだよな…
そう思いつつも、笑顔の葵に言える訳もなく…
ネクタイを締めてもらうことにした。


「今朝は申し訳ありませんでした。」


『今朝?』


「はい、心配してくださったのに…その」


『ああ…』


突然の話しに、思い出すのに時間が掛かった。
後ずさりした事が。


「陸を避けてた訳じゃないんです。ただ……」


『ただ?』


「─出来ました。
ただ、陸の顔を近くでみた後だったので、つい。」


『…それだけ?』


「はい。」


また目を逸らす葵に、反射的に笑ってしまった。


「なにか失礼な事、言いました?」


不安そうな顔を向けられ、学校が無かったら…って強く願った。


『なにも?ただ、可愛いなぁって思っただけ。
学校が無かったら、押し倒してるとこだけど』


そう言ったら、耳まで真っ赤にして俯いた。