僕の執事 完結編

『ったく…』


その後もなかなか入ってこない葵に、焦れったくなり自らドアを開けに行った。


『─葵のエッチ。
服着てないと思ったわけ?』


「えっ? ち、違います!!」


『動揺しすぎ。で、なに? なんか用があって来たんだろ?』


「あ、はい。…なんだっけ?」


『はあー?』


「だって…」


困ってる葵を脱衣所に引き入れ、タオルで頭を吹きながら洗面台に腰で寄りかかった。


『すぐ言わないから忘れんだよ。さっさと入って来ればいいものを、廊下でソワソワ、ソワソワ…』


「ごめんなさい。」


『で、思い出したか?』


「…全然。」


苦笑する葵は、俺から目を逸らした。


『…まあ、いいや。
思い出せないって事は、大した用じゃ無かったって事だろうし?』


体を反転させ、ドライヤーを掛け始めたとき、鏡越しに葵が何か呟くのが見えた。


『えっ!?』


葵は俺の問いかけに答える気はないらしく、真顔でこう言ってきた。


「ボタン閉めないと、風邪引きますよ?」


『はぁ?』


言葉にならない声を絞り出し、何がしたいのか分からない葵を視界の端に置き、髪を乾かした。