あれから1時間弱。
窓の外が暗くなり始めるなか、未だに恭平と口を聞いてない。
ケンカしてる訳じゃないのに、ケンカした気分になりかけてる事が余計に気持ちを暗くした。
そんな部屋に、ノック音がした。


『はい?』


久しぶりに声を出した気がする…
急に部屋が明るくなり、目を細めた。
ドアを開けたのは葵だった。


「お邪魔でしたか?」


『…どうしたの?』


お邪魔でしたか?って聞かれて、グッドタイミングなんて言えるわけもなく、逆に質問を返した。


「もうすぐお夕食の用意が整うので、呼んできなさいと騎馬さんに言われたので…。」


目を丸くし、俺と恭平に何があったか必死に理解しようとしてる葵に、『分かった』とだけ告げた。


「あともう一つ、恭平さんの分も用意してありますので、よかったらどうぞ?と…」


「…えっ、俺も?」


ボーっとカップの中を覗き込んでる恭平は、自分の名前を呼ばれて驚いてた。


「よろしかったらどうぞ?!」


葵の笑顔に押され気味の恭平は、軽く頷いた。