「そうしなきゃ、不安でさ…。時間が経てば経つほど、言いにくくなるってわかってはいるんだけど…、アリスの顔見ると、言い出せなくて」


ぬるいココアを両手で持ったまま、目線を上げようとしない恭平を見て
また傷つけた、と思った。嫌われ役を買って出たはいいけど、結局自分の意見押し付けて終わり。聞くしか出来ないって言ったくせに、結局は裏目に裏目に…─


『ハァー…』


俺のため息を怒ってると勘違いした恭平が、急に顔を上げた。


「ごめんな?! 弱音ばっかり言って…聞いてたらイラつくよな。」


『いや、俺の方こそ偉そうな事ばっか言って…悪い。』


そこから沈黙が続いた。
小さな耳鳴りと、公園から聞こえてくる子供の声が、気まずい空気の中に響いた…───