『終わった~…』


伸びをしてると、恭平に謝られた。


『謝んなって。
てか俺、お前の名前間違えて言いそうで、すげぇドキドキしたんだけど』


笑いながらそう言ったら、小さく微笑んだ。
しばらくその場で休み、部屋を出る頃にはいつもの、とまではいかないものの、普段の恭平に戻りつつあった。


『あんなに喋る子だなんて知らなかった…』


「昔からああだよ。
紅平の前ではよく喋ってた。俺には何故か敬語混じりでさ、双子なのに…なんてよく思ってた。」


『双子…?』


「フッ…そう、双子。」


その先は俺の頭がついていかず、帰ってから改めて聞くことにした。
帰りの車中、母さんが1人三月親子の話をし始めた。


「アリスさんどうだった?」


『うん。』


「…それだけ?」


『確かに可愛くていい子だけど、俺はちょっと…』


「そう。」


残念そうな声を聞きながら、なんだかんだ言って、結局この縁談を引き受けたいのは母さん自身なんじゃないかと思った。


『元々は会うだけでいいって話しだったし。』


「それもそうだけと…」


未練たっぷりに呟く母さんに、ちゃんと断るよう念を押した。