僕の執事 完結編

「…アリス」


小声で名前を呼ぶと、顔を伏せた。


『知り合いだった?』


耳打ちすると、黙って頷いた。


「三月、アリス だったんだな。お前の見合い相手…」


『恭平?』


「俺、やっぱり向こうで…」


「こうちゃん?」


アリスの言葉に、恭平は金縛りにでもあったみたいに動かなくなった。


「こうちゃん、だよね?」


誰の名前を言ってるのか、勢いよく立ち上がったせいで倒れた椅子を、執事が直してるのが見えた。
その間にも、アリスはどんどん近づいて来て…
隣の恭平に目を移すと、一歩下がる仕草をし目を伏せた。
俺には2人の間に何が合ったのか、恭平がなぜアリスを避けようとしてるのか分からないけど、その光景を黙って見守ることにした。


「お久しぶりです。」


アリスの言葉に、恭平が口を開いた。


「久しぶり、…帰ってたんだ。」


「うん、2ヶ月前にこっちに戻って来たの。
紅ちゃんは?元気だった?」


「うん。」


「そっか…なんか大人っぽくなったね。
あっ! 恭ちゃんは元気してる?」


「うん、俺と同じくらい…元気。」