「お昼寝の時、遊ぶ時、何かを作る時も、隣には彼がいたわ。
偶然な事に家も近くて、子供ながらに運命かも!なんて思ってしまって。
それからそのまま幼稚園を卒園して、彼と同じ小学校に通ったの。
運命か偶然か、彼の家も裕福だと知ったのは学年が上がった時だった。
みんなにからかわれても、顔色一つ変えず私と居てくれて…
いつしかそれが当たり前になってた」


突然話が途切れ、見るとアリスは目に涙を溜めてた。
そこにタイミング悪く店員が現れ、注文した品をテーブルに置き出ていった。


「あの店員さん、勘違いしたかしら…」


申し訳なさそうに涙を拭いて笑い、ミルクティーを一口含むと、先を話した。


「でも、その当たり前も父の転勤によって無くなったわ。
帰ってから一度も彼には会ってないの。」


『その転勤って…』


「海外。 彼に打ち明けるか迷ったわ。」


『言わずに引っ越したの?』


「ちゃんと打ち明けたわよ? 彼にじゃなく、彼の弟に。
今でも覚えてる。翌日から荷造りの為学校を休んだの。
いつ向こうに行くのかは知らせなかった。
でも、引っ越し当日、いきなり現れたの。
彼は何も言わず私を抱きしめると、別れの挨拶をした。」