僕の執事 完結編

「静かですね…」


『窓閉まってるから…』


「そっちの静かじゃなくて、陸がおとなしいって意味で言ったんだけど…」


『あぁ、そっちか』


そこからまた沈黙が続いた。
何か話さなきゃって思えば思うほど、何も出てこなくて、思いついたとしても葵が知らない話しばっかり…
浮かばないなら浮かばないでいっそこのままでいようか? なんて思ってたら、葵の声で思考が止まった。


「キレイですね。」


『ん?』


顔を上げると、葵の視線は窓の外に向けられてた。それにつられて俺も窓に目を移した。
頂上に近づいてる観覧車からは、さっきまで乗ってたメリーゴーランドと、遊園地から少し離れた場所に遠慮がちに建つ家が見えた。


『観覧車の頂上でキスしたいと思う?』


危うくそんな事を聞きそうになり自制した。
なんで今… 前に無理に乗った観覧車の中で、名波と話した事を思い出した。
《「知ってる?観覧車が頂上に着たとき、キスしたカップルは幸せになれるんだって。」》
迷信だよな、そんなの。


「陸見て!すごくキレイ…」


その言葉で我に返った。
慌てて窓に目を向けると、さっきとは比べモノにならいくらいキレイな景色が広がってた。