僕の執事 完結編

妙な沈黙の後、いきなり葵が笑い出し寝ぼけてるのかと聞いて来た。


『いや、寝ぼけてはないけど…本物?』


「本物? なんの事です?」


『あ、やっぱ、夢か…』


そう呟いたら、また葵が笑った。


「夢じゃないですよ。」


そう言って俺の両頬を、左右に引っ張った。


「これから見送りなので、少ししか時間なんですけど、この間言いそびれた事を言いに寄ったら、まだ寝てると言われたので、ついでに起こしに来ました。」


『つたえれなかったこと? てか、いい加減はなせ』


「あ、ごめんなさい。
今日は改めて、お世話になります。を伝えにきました。」


『……は?』


両頬をさすっていた手が止まった。


「誰も行くなんて言ってませんよ? 私言いましたよね?陸の側にいるって。
 ─あの日の朝、久しぶりに家に帰ったら、深刻な顔で海外勤務になった。って言われたんです。
私は行きたくないって言ったら、1人家に残すのも不安だから、一ノ瀬さんの家に居なさいって言われて…」


『でも、部屋の荷物片付けてたじゃん。』


「あれは、執事部屋から、違う部屋に移るために色々と準備を…」