僕の執事 完結編

その2日後─
今日は葵が出発する日。
朝日が昇る前に目が覚め、布団の中で寝返りを繰り返しながら再び眠りにつくのを待ってた。


「おはようございます。」


やっと眠りについた頃、いるはずのない葵の声が聞こえた。
それも、すごく近くで
夢なのか現実なのかすら分からないまま、葵の声を聞いてた。
例え幻聴だったとしても、好きな人の声を聞いてられるなら夢でもいいや…


「起きないと怒られますよ?」


いきなり体を揺さぶられ、夢でも幻聴が聞こえた訳でもないと知った。
でも、“葵がこんな所にいるはずもない。”そんな固定観念を崩す事が出来ず起きるのを躊躇った。
その間、ずっと名前を呼びながら揺すられ続け、だんだん苛々してきた俺は、勢いよく起きた。


『あ゛ーもう! 止めろ!!』


「あ、やっと起きた。
陸おはよう!」


『…おはよう』


起きたはいいが、未だに夢と現実の区別がついてない。
ベッドに座りジッと俺の顔を覗き込む葵に、“夢か?”なんて聞くのも“逢えて嬉しい”って言ってるみたいでなんか嫌だった。


「どうしたの?」


傾けた顔を更に傾け、逸らすことなく俺の目を見る葵に、言葉が出なかった。