なんで、もっと話聞いてやらなかったんだろう?
どうして、もっと側にいてやれなかったんだろう? そんな疑問だけが頭の中で渦巻いてた。
 ─帰りの車内は、来たときよりも騒がしかった。 俺を除いた3人は、楽しそうに家に着くまで話し込んでた。


「今日は色々ありがと!!」


『うん』


窓から顔を覗かせた恭平の後ろで、笑顔で手を振るアリスが俺と葵に「ごきげんよう」と言った。


『ご、ごきげんよう…』


「ごきげんよう、アリス。」


いつの間にそんなに親しくなったんだろう?
隣で同じように手を振る葵を横に、走り出した車を見送った。


「今日は凄い1日でしたね。」


『あぁ…うん。』


騎馬の言葉に返す気になれず、家に戻ってからずっと部屋に籠ってた。
聞き耳を立てずとも、静かすぎる家だと話がまる聞こえで…聞きたくない会話すら耳に届く。


「今日までお疲れ様でした。」


「こちらこそ、ありがとうございました。
騎馬さんには迷惑かけっぱなしで…なんて言ったらいいか」


葵と騎馬の会話を聞きながら、本当に最後なんだなって実感が湧いてきた。