「紅平の事なんだけど…アイツ、死んだんだ。
子ネコ助けようと、道路横切ってる最中に…その、車に跳ねられて。」


「嘘、でしょ?」


「…アリスに伝言がある。」


「変な冗談止めてよ!!
生きてるんでしょう?」


震えるアリスの声が大きくなった。


「生きてたらこんな事言わないよ。
「俺がアリスを好きだと言った事は嘘じゃない、アリスに会えて楽しかった。幸せに出来なくてごめん。」
病気になった時、俺にそう言ってきた。
それと、偶然見つけた手紙に…。」


恭平がアリスに封筒を手渡した。


『手紙…?』


アリスはその封筒を受け取るのを躊躇た。


「陸、行きましょう。」


一部始終を共に見てた葵が、いきなりそんな事を口にした。


『なんで?』


「2人だけにしてあげましょう? もう、充分です。」


そっと離れる葵に、恭平達を気にかけながらも葵を追った。


『…─葵?』


来た道を戻りながら、無言で先を歩く葵に声を掛けて見るものの、いつまで経っても返事が返ってこない。


『俺、何かした?』


首を振る葵に、それ以上の言葉がでてこなかった。