僕の執事 完結編

カップに視線を落とすと、頭上でフッと笑い声がした。


「バカですね、陸は全部伝えようとするからいけないんですよ。
前にも言いましたが、今のうちから全部知ってしまったら、楽しみがなくなりますよ?」


『…分かってはいるけど…』


「人は皆傷つき傷つけ、反省して次に進むんです。一つ知ったら、それは一つ成長した事の証になります。
相手の全てを知りたいのなら、たくさんの時間を掛けてゆっくり知ればいいんです。」


『騎馬…、やっぱお前は最高の執事だ!!』


「ありがとうございます。」


騎馬の笑顔につられて笑った。
たまに熱血っぽくなるのも、サラッと本当の事言うのも、全ては俺の為…ってわけか。


『なんか元気出てきた。俺、もう少し頑張ってみるわ!コーヒー、ありがとな』


「いえ、これが執事である僕の仕事ですから。」


冷めかけのコーヒーを一気に飲み干すと、部屋に戻った。


「─あ…っ」


『まだいたんだ。』


俯く葵にしまったとは思いつつも、俺の足はまっすぐ葵の元へ向かってた。


『話があるんだけど、いいかな?』


葵は返事の代わりにコクリと頷いた。