─予鈴がなる前に駐車場に付いた。
【安全運転】の文字は騎馬の頭の中に無いのか?そう聞いてみたくなるほど、生きた心地がしなかった。


「おや、顔色が優れないですね?」


グッタリしてる俺を見て、平然とそんな事を言う騎馬に呆れて何も言えなかった。──


『おはよぉ…』


ギリギリ授業に間に合い、挨拶もそこそこに机に突っ伏した。


「おはよう、またなんかあった?」


恭平の問いかけに、昨日の出来事が一瞬フラッシュバックした。


「いつまで経っても来ないから、休みだと思ってたんだけど」


『ちょっと、色々あって…』


「相変わらず、凄い人生送ってんな。」


『んー?』


頭上から話しかけられ、見ると爽やかな笑顔を向ける泉がいた。


「おはよう」


また星関係の本を読んでるのか、少し分厚い本を閉じた。
泉の言葉に苦笑いで答え、一時間目を恭平に託し目を閉じた。


「─てください! 陸?」


体を揺すられ、目を開けると騎馬が俺を見てため息をついた。


『あ、おはよう…』


「おはようじゃありませんよ。しっかりしてください!!」


『……。』


突如始まった騎馬の説教すら、今は子守歌に聞こえる。