「はい。とれた」 笑顔で握った手を つきだされる。 「虫ってなにー…」 眉間に皺を寄せてそのてを凝視すると、薫が笑った。 「嘘だよ、嘘。」 「は!?」 そう言って開かれた薫の手にあったのは2、3枚の花びら。 「ちょっと!!どこが虫よー!!」 「彩音が引っ掛かりやすいんだよ」 立ち上がった薫は、彩音の攻撃を避けながら逃げる。 そしてそれを追いかける。 届けばいい。 この伸ばした手と同じように、 ――私の思いも届けばいい。