紫陽花

 
「お前って本当に鈍いなー」


いきなりの前田の言葉に
俺はわけがわからずボケッとしてた。


すぐに東と瀬崎も合流し
空き教室でくつろいでたら
後輩の女の子達が来て
俺に手紙を3通渡して去って行った。


「ひゅー♪斉藤きゅんモテる〜♪」

ちゃかす東を無視し
手紙を見てみた。


[誰にでも優しく、いつも笑ってて………]


『誰にでも優しいねー…』

別に優しくねーしと
独り言を呟いた。


結局空き教室にいる間に
前田も東も瀬崎も
何通かもらったみたいだった。


文化祭が終わり男子だけで
バイキングに行き皆で盛り上がってた。


そしていつの間にか
恋バナになっていた。


みんな各々に聞き覚えのある名を言ってた。

前田は彼女ラブだから
小冬ちゃーんとか言ってた。


みんなの話を笑いながら
聞いていたら唐突に
話題が俺に向いた。


「ってか斉藤は好きな女いないの?」

すると隣に座っていた前田が
タバコの火を消して耳打ちして来た。


「木ノ下って言ってみ…」