「…佐倉、どこに行くつもりなの?」 「秘密。」 佐倉はそう言ってまた意味深に微笑む。 さっきから佐倉は意味深に微笑んでばかりで、何を考えているか分からない。 あたしは家とは反対方向の電車に佐倉と乗り、流れゆく景色を見ていた。 「…如月さん、いとことか妹とか…いる?」 「いない。あたしもお母さんもお父さんも一人っ子だから」 「…そう」 そう言って佐倉は考えるような顔をして黙り込んでしまった。