『サラ?どうした?』

お兄ちゃんの不審気な声。

「なんでもないよ。
部屋の前に、知人がいたから
・・びっくりしただけだよ。」

『お前、まだ、あの
セキュリティ万全物件に
すんでんのか?!
早く引っ越せって
ゆってんだろ。』

何故か似たような事をいう
志央とお兄ちゃんの思考回路に
思わず、吹き出した。

『何がおかしいんだよ。
明日、説教もんだな。』

「はいはい。
小言は明日聞くから。
一時にロビーで待ってるね。」

ちょっと
機嫌が悪くなったのを感じて
一方的に電話を切った。


そして・・・


目の前の
男の機嫌の悪さも


半端じゃないことが
見てとれる。


「こんばんは。どうしたの?」

こんな時は、

気付かない振りをするに限る。


素知らぬ振りで、
鍵を開けた。

「サラに聞きたい事が
あったから
来たんだけどね。

・・・今の、長電話の相手
誰?」

「え?幼なじみだけど。
私、中学入る時に引越たのね。
小学校まで、隣県にいたの。
その時のお隣さんよ。」

何で、この子に
管理されなきゃ
いけないのよ・・・

思いながらも答えた。