宴の舞姫

この季節になると、毎年思い出す。

愛した者を


名はナーシャ


彼女は隣国の第二王女で、幼い頃から仲がよかった



――――――

「アレンっはやく!」

色とりどりの花が咲き誇る庭園

俺たちはよくここで遊んでいた

「ナーシャは元気だね……」

男の俺よりも元気な彼女はいつも俺を引っ張り回っていた

おてんば姫

侍女達には有名だった

「アレンが弱っちいのよ」

「お前ホントに女かよ…」

「何か言った?」


…聞こえてたのか


「いえ何も」

恐ろしい地獄耳だ