目が覚めると

そこは薬の匂いのする
病室だった。



「気がついた?」



傍に居た看護士が
そっと私の頭を撫でた。


あぁ…
良かった。
きっと、夢だったんだ。
もうすぐ心配したお母さんが私を迎えに来るんだ。

そうだよ。
そうに決まってる。

私が生れてすぐに
お父さんは死んじゃって
お母さんと二人っきりで暮らしてきた。

それなのに、
お母さんが私を置いて
居なくなるわけないじゃん…

バカだなぁ…私



「お母さんに会える?」



そう、少し看護師さんが
悲しそうな目で言った。

私が頷けば
看護師さんと一緒に
病室を後にした。